静寂の中にある真実

60年前、女性たちと歯の抜けた子どもたちが、放射能から北米大陸から守った
5歳のエリックが電話を出ると「ジョン・ケネディだけどお母さんはいるかな?」という声が…
爆心地からわずか80キロ。ラスベガスは、キノコ雲ショーに沸いた
被曝を証明するため集まった乳歯は32万本に及んだ
ハチミツから他の食品に比べ100倍の放射性物質が検出された
 
■ 作品概要
1951年からアメリカ国内で始まった大気圏内核実験は100回。核実験によって北米大陸全域が放射能汚染。汚染したミルクを飲んだ全米の子どもたちが被曝。立ち上がった女性たちの行動が、ケネディ大統領を動かし、ついに大気圏内核実験が中止された。アメリカ国内で行われた828回の地下核実験が、そのまま地上で行われていたら…北米大陸は死のエリアになっていたかもしれない。
女性たちと歯の抜けた子どもたちが、放射能から北米大陸を救った奇跡の物語(事実)。
 
タイトル : SILENT FALLOUT
監督 : 伊東英朗
ナレーション : アレック・ボールドウィン(英語版)、加藤登紀子(日本語版)
公開日 : 2023年3月31日(日本) 2023年10月1日(アメリカ)
尺 : 73分
配給 : 自主上映形式
 
■ ストーリー
映画は、5章で構成。
 
第1章 【核実験による明らかな大陸汚染
映画は、北西部ソルトレイクシティに住むメアリー・ディクソンの証言から始まる。さらに大気圏内核実験が100回行われたネバダ核実験場の風下地域、アメリカ政府が被曝の事実を認め補償しているセントジョージ、シーダーシティの被害者が、被曝の実態を語る。
 
第2章 【放射性汚染は、北米大陸全域に広がっていた
1951年から62年にかけ、核実験ツーリズムで賑わったラスベガスからわずか80キロにあるネバダ核実験場を中心に、北米大陸全域に放射性物質が広がっていた。アメリカ原子力委員会は、被曝の実態を克明に記録。委員会は当初からすべてを知っていた。

第3章 【子どもたちを被曝から守りたい。女性たちが行動に出る
舞台はセントルイス。核実験によって子どもたちが被曝している噂を聞いた女性たちが立ち上がる。子どもたちの被曝を証明すれば、核実験を止められるかもしれない。鍵となったのは「抜け落ちた子どもの歯」だった。セントルイスでは乳歯を提供したかつての子どもたちが証言する。医師であり母親でもあるルイーズ・ライスたちは、32万本の乳歯を収集。
 
第4章 【北米大陸を救った知られざるヒーローたち
ある日、当時5歳だったルイーズ・ライスの息子、エリックは、電話をとった。受話器から聞こえたのは「ジョン・ケネディだけど、お母さんはいるかな?」女性たちが集めた乳歯は、子どもたちの被曝を証明。そのことを聞いたケネディ大統領によってアメリカ国内の大気圏内核実験は中止。アメリカ大陸は、放射能から救われた。
 
第5章 【現在も続く放射能汚染、そして世界で起こっている被曝事件
地質学者ジェームズ・カスティ教授は、北米大陸の現代のハチミツに核実験由来の放射性物質が存在することを証明。さらに北米大陸の放射能汚染は、国内の核実験だけではなかったと語る。太平洋で行われた100回以上の核実験によって被曝した日本のマグロ船乗組員、そして、核実験でモルモットにされたイギリス軍兵士が、証言。
 
■ 監督・伊東英朗からのコメント
「『SILENT FALLOUT』は、核保有国アメリカの人たちに向けて作った映画です。アメリカ政府は、アメリカ国民が被曝していることを知りながら核実験を続けました。しかし、アメリカ国民は自らの命と引き換えに核兵器をもっていることを知らされていません。アメリカに住む人は、被曝者です。そのことを自覚し、被曝者として当事者意識をもたなければなりません。世界で起こっている被害は、遠い話ではないのです。
アメリカ政府は、核兵器によってアメリカを守ると言いますが、それはアメリカ国民の犠牲の上にあるのです。政府の言う「アメリカ」とは、一体何なのか? そのことを議論してほしい。自らの命と引き換えに核兵器をもっていることを知った上で、世界中の人が、改めて、核兵器の必要性を議論してほしいのです。それが僕の願いです。
 
■ 見どころ
長期にわたる取材:2004年春、事件に出会って20年、積み重ねた取材をもとに描かれる事実。
多くの証言者と機密文書:アメリカ、イギリス、日本を取材、被曝者、研究者による証言、そして長年に渡って収集した数千ページにわたる機密文書によって証明される事実。
国際的な評価:ハンプトン国際映画祭、セントルイス国際映画祭など、29に及ぶ国際映画祭で受賞、公式上映。
豪華なナレーション:英語版はアレック・ボールドウィン、日本語版は加藤登紀子が担当。

お知らせ
自主上映はSCREENINGからお申し込みできます。

 

受賞

SILENT FALLOUT

ハンプトン国際映画祭 (アメリカ) 公式上映
セントルイス国際映画祭 (アメリカ) 公式上映
ボストン ジャパン フィルムフェスティバル (アメリカ) 公式上映
第11回 ARFF バルセロナ国際賞 (スペイン) ベストドキュメンタリー・セミファイナリスト
国際ウラン映画祭 (ブラジル、アメリカ) 最優秀ドキュメンタリー観客賞
スウェーデン国際映画祭11月 月間賞(スウィーデン) Outstanding Achievement
ARFF 国際月刊アラウンド国際映画祭 (スペイン) 月間賞 ARFF グローブ賞
パリ国際映画祭 (フランス) 佳作
マーヴェリック 映画賞 (イギリス) 最優秀編集賞
トロントドキュメンタリー 長編&短編映画祭 (カナダ) Best Story賞
ニューヨークシティ国際映画祭 (アメリカ) 公式上映
シアトル映画製作者賞(アメリカ) セミ・ファイナリスト
ローマ・プリズマ映画賞 (イタリア) Monthly Picks賞
ハワイ国際映画賞 (アメリカ) セミ・ファイナリスト
オースティン国際芸術祭 (アメリカ) セミ・ファイナリスト
HIIFF-ハート国際イタリア映画祭 (イタリア) ファイナリスト
レッド ムービー アワード(フランス) 公式セレクション
マインドフィールド映画祭 – アルバカーキ (アメリカ) ダイヤモンド賞
ジュリアン・ダビューク国際映画祭 JDIFF(アメリカ) 2024 年度オフィシャルセレクション
アリゾナ国際映画祭2024 (アメリカ) オフィシャルセレクション
ハーレム国際映画祭 (アメリカ) オフィシャルセレクション
BLSTOFF(アメリカカリフォルニア) オフィシャルセレクション
ダブリン映画賞(アイルランド) セミファイナリスト
WILDsound Daily Festival(アメリカ)  ベストフューチャーフィルム
Houston Asian American & Pacific Islander Film Festival(アメリカ) オフィシャルセレクション
オークランド・フィルムフェスティバル(アメリカ) セミ・ファイナリスト
シアトル映画祭(アメリカ) オフィシャル・セレクション
イタリアのフェラーラ映画祭 ファイナリスト

SILENT FALLOUT

映画へのメッセージ

アレック・ボールドウィン

映画「SILENT FALLOUT」ナレーションをしてくれているハリウッド映画界で活躍する俳優アレック・ボールドウィンさんからメッセージが届きました。

「私は、1990年初頭から原子力発電所に反対する活動をしてきました。その活動は、常に、映画やテレビの知的なプレゼンテーションによって支えられています。『SILENT FALLOUT』は、最も重要な問題に光を当てることができる強力な映画制作の優れた例です。」

ジョセフ・マンガーノ

放射線・公衆衛生プロジェクト(Radiation and Public HealthProject)のエグゼクティブ・ディレクターで、『Radioactive Baby Teeth』の著者でもある、ジョセフ・マンガーノ氏よりメッセージをいただきました。

「静かなる放射性降下物:乳歯が語る」は、冷戦期の乳歯に蓄積された原爆実験の放射性降下物に関する歴史的研究を扱った初の映画です。この歯の研究結果はジョン・F・ケネディ大統領と米国上院に伝えられ、地上核実験禁止条約の成立を早めるのに役立ちました。この条約は多くの命を救いました。

この映画は、科学者と市民が協力して公共政策を強化する能力を描いています。この映画は歴史としてだけでなく、核実験の現在および将来の健康への脅威を認識する上でも重要です。米国、ロシア、中国の関係悪化により、各国は現在、実験再開に向けて実験施設を準備中です。これは数十年ぶりの実験となります。

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プロフィール

ドキュメンタリー映画監督/テレビディレクター 

 伊東英朗

1960年生まれ。幼稚園教諭から‘00年、テレビの世界に転じる。‘12年、‘15年、映画「X年後」シリーズを劇場公開。‘23年、映画「SILENT FALLOUT」を製作。国際ウラン映画祭(観客)、ハンプトン国際映画祭、セントルイス国際映画祭など、28の海外映画祭で評価。第71回芸術選奨 文部科学大臣賞、日本記者クラブ賞特別賞、ギャラクシー賞大賞、日本民間放送連盟賞最優秀賞などを受賞。著書に『放射線を浴びたX年後』(講談社)がある。

感想

放射能被害の広域、地球規模、長期化の恐ろしさを知りました。このような映画を日本の学校でも上映できるといいと思いました。
原発は日本の問題と思っていたけど、世界でも問題になっていること、苦しんでいる人がいることを知らず、原発の実験がこれほど行われていたとは知らなかった
ネバダやマーシャル諸島の汚染のことは何度か聞いていましたが、今回の映画で現実の深刻さを目の当たりにしてショックでした。アメリカでも日本でも多くの人に見てもらいたい説得力のある映画でした。
アメリカで被ばく問題と住民運動は全く知らなかった。知らないことが一番の問題だと感じた。
アメリカでも日本でも何の問題でも政府との闘いは長いなと思いました。
ソルトレイクシティの女性が死亡率の記事を集めていた場所を指して、「いっぱいあったのよ、でも憂鬱になってしまって」といった事を言ったのが印象的でした。子供の頃に周りにいた人たちがどんどん若くして亡くなって行く喪失感やなんで、という思いや色々つらい思いが積み重なって行ったんですね。
放射線のもたらすもの、を知らせる。このドキュメンタリー映像に感銘を受けました。知らない事のこわさ。
アメリカだけの問題ではない全人類に関わる事。あらためて考えさせられる事ばかりでした。
このような作品をありがとうございました。ショッキングな事ばかりですが自分事として考えていきたいです。
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